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おもむろに研究 そこはかとなく描く

Suzuki Coupling Reaction

Nikomat EL, Ai Nikkor 50mm F1.4s, Kodak SUPER GOLD 400
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やはり、ノーベル賞にも触れておこう。







上の写真は「鈴木カップリング反応」を行っている写真です。
そう。今回ノーベル賞を受賞した鈴木先生の発見した反応です。
鈴木先生の見つけ出した反応は、僕のフラスコの中にも生きてます。

今回ノーベル化学賞を受賞した鈴木先生、根岸先生、ヘック先生は化学の世界では超有名です。
何故なら、みんなこの人達が開発した反応を用いて研究を行っているからです。
僕もその一人です。
非常に汎用性の高い発見をした先生達です。

どのくらい便利な事をしてくれたのか。

親しみのある言葉で説明するのであれば、
「日本料理を作るのに"酒" "醤油" "みりん"の組み合わせを見つけ出した。に等しい発見」
と言えば伝わるかも知れません。
酒、醤油、みりんの配合で料理名が変わる。
味の深さが変わる。
そんな組み合わせを見つけ出した科学者です。
何かを発見した、と言うよりは、何かを発見するために必要な術を発見した、という感じ。
テレビでは難しい言葉が並びますが
"酒 = 炭素" "醤油 = 触媒" "みりん = アルカリ"みたいな感じで見ておくと分かりやすいかも知れませんね。


でも、やっぱりこんなノーベル賞の話を聞いていると不思議な感じがします。
これらのノーベル賞を受賞するに値した炭素ー炭素結合を生成するカップリング反応は
私達の体の中でも日常的に行われている反応です。
ご飯を食べて生きているわけですから、私達の体は色んな物を分子レベルまで分解して、
それを分子レベルで作り上げて、体を作って、エネルギーを作っているわけです。
私達の体が炭素で出来ているという事実は、
私達の体が炭素と炭素の結合を自由自在に操っていることを意味しています。

人間はその炭素と炭素をつなぐ反応を開発した研究者に対して、その功績を讃え、ノーベル賞を授与しました。
つまり、この「炭素と炭素をつなぐ反応」という事が尋常じゃなく難しかった事を指しています。
そしてそれらは今も難しい。
だって人間はまだ命を作れていないから。

つくづく、化学という学問は「考えるもの」ではなく「受け取るもの」という気がします。
創造ではなく理解。
デザインという名の実践。


浮き世の権威と誉れが浮き彫りにする事柄。
秋の夜長にそんな事を考えてもみる。
by onwa-nukukazu | 2010-10-07 23:48 | chemistry