おもむろに研究 そこはかとなく描く

M in the rain

α-700 50mm F1.4
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何故貴方が大爆笑していたかというと、
ミゾレが降ってきたからだ。






忘れないように書いておこう。
あの日僕らはNikomat ELの電池を買いに行ったんだ。
「4LR44」なんて猪口才な電池なもんだから量販店には売ってない。
カメラ屋さんで電池を買って、陽が少しだけ残っていたから写真を撮る事にしたんだ。

川を渡って車を止めて、僕らは城跡の方に歩き始めた。
僕は講釈を述べていた。
「お前、しっかりモデルしてくれよな。」ってポーズの決め方の話なんかしていた。

そしたら、ミゾレが降ってきた。
カメラを構えた途端にミゾレが降ってきた。

そしたら、貴方は大爆笑を始めた。


α-700 50mm F1.4
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そもそも風が冷たい日だった。
相変わらず貴方は上着の下が薄着で、
そんなんだったら僕なら速攻でお腹が痛くなってしまう所だ。
冷え性で手が直ぐ冷たくなるくせに、
冷たくなったらブーブー文句を言い始めるくせに、備え無し。


α-700 50mm F1.4
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貴方は計画が頓挫すると笑うクセがある。
僕は計画を立てたがる方だから、
よくそれが失敗して、貴方は笑う。
あの時もそんな理由で笑っていたんだろう。
クスクス可愛く笑えばいいのに、大口を開けて大爆笑。
そんな時の貴方の悪ノリにも慣れた。
限りあるものを無駄遣いするのは良くないなと学び始めたんだよ。
もしくは、貴方もそうしてるんだってやっと気付き始めたんだ。


α-700 50mm F1.4
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コーンスープが飲みたくて自販機を探した。
悴んできた指先復活のためにも、自販機を探した。
でもコーンスープは並んでなかった。
「Coca Cola」には「Georgia」と言いながら貴方は缶コーヒーのボタンを押した。
私は飲まないけど、って言いながら僕の分の缶コーヒーのボタンを押した。
もし僕がココアを飲みたかったらどうしていたんだろう。
不思議と僕は「Georgia」を飲みたかった。
貴方はその缶コーヒーがぬるくなるまで冷えた手の平の温度を移し、ホイって僕に渡した。
もはや、何も言わない。
私ってこんな奴よって顔で貴方は笑い、
お前ってそんな奴だよなって顔で僕も笑った。


α-700 50mm F1.4
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こいつの前なら気にせず笑えるって顔で笑う。
こいつの前なら、分かってもらえるって顔で笑う。

そういう二人で築いてきたものが、僕が一番撮りたいもの。
そういう普段着の貴方が、僕にとって一番大切なもの。
そしてそれらが、僕が貴方に残してあげたいもの。


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暗くなってきたから帰る事にした。
貴方の赤い車に乗って、ユニクロに服を買いに行く途中だったんだ。

音楽が流れていた。
Mr.ChildrenとMonkey Majik。
貴方の大好きな曲たち。
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by onwa-nukukazu | 2011-01-20 02:27 | friend